
9月2日、今世紀初の陸上自衛隊・富士総合火力演習に行ってまいりました。
“総火演”を見学するのは98年以来2度めです。最近では自衛隊関係もややオープンになりつつあり、各種防災訓練等でもその装備を見学できる機会が増えてきていますが、総火演は主要装備の機能を存分に観察できる絶好のチャンスです。

今年の総火演は8月31日と9月2日。仕事でお世話になっているT社のO嬢のはからいによって、2日のチケットを入手することが出来ました。
当日、演習開始は10時20分。同行するK君の車が午前7時に我が家に到着、7時半頃にはO嬢と合流して出発しましたが、演習場近辺の驚くべき渋滞により、到着したのはナント11時で、前半を見逃してしまいました。残念!
この日の入場者は3万人を越えていたとのことで、予定していた駐車場には停められず、臨時駐車場となった射撃場におもむいてそこからバスで会場に向かい、何とか後半のメインイベントである“模擬戦”に間に合いました。観覧席に到着したと同時に休憩時間が終わって「演習開始」のラッパがパッパカパ〜と鳴った時にはアセリました(^^;)




ところがこれがまた大混雑で、写真を撮るとごころの騒ぎではありません。展開する大演習を横目に見つつ、まるで『プライベートライアン』のオマハビーチを駆ける戦闘工兵のごとくに中腰で観覧席の隙間を走り回ったあげく、O嬢が本部へ走り込んで交渉してくれて、ようやく報道陣の席にて観覧する事が出来ました。同行したK君はデジカムPD150を抱えているので何とかサマになりましたが、私は“オサエ”でそこそこの写真が撮れりゃいいかなくらいに思って「写るんです」しか持っておらず、報道陣のベーカムや16ミリキャメラの砲列に混じって図体のデカイ男が「写るんです」を必死に振り回している姿は、かなり異様だったのではないかと思います。




――全体の雰囲気は98年と変わっていませんでしたが、巨大な液晶モニターを積んだトラックが隅に停車しており、演習場にはいない自走榴弾砲の砲撃を見せたり、遠く離れた“射的”のクローズアップを捉えて着弾の瞬間を見せるといったサービスをしていました。
とにかく総火演の魅力は「音の迫力」この一言に尽きます。90式戦車の120ミリ砲の砲撃は、人間の耳では「音」として捉えきれぬほどで、バットか何かで顔面を強打されたような「衝撃派」としてしか感じられません。大戦中の有名な記録写真に、米軍のM12自走155ミリ榴弾砲の傍で、カンベンしてくれというような顔をして耳をふさいでいる砲兵たちが写っているのがありますが、彼らの気持ちがよく分かります。


また、国産観測ヘリOH−1が宙返り寸前のアクロ飛行でその軽快な運動性能を見せつけ、観覧席からは驚嘆の声があがっていました。

……すべての演習が終了した後、初めて見る光景に驚きました。
観覧席の前に整列した90式戦車の小隊がヘッドライトを煌々と灯しつつ、自慢の油気圧サスペンションを稼働させて一斉に車体姿勢を変換、観客に向かってお辞儀をするのです。その様子が、まるで鎧武者が片膝をついて「親方様……」と頭を垂れているように見え、会場からは大きな拍手が湧き起こりました。それに応え、整然と退場する戦車のコマンダーズキューポラから半身を伸ばした戦車長が元気に手を振っている姿には、何か胸に「来る」ものを感じました。
その後は展示車両の見学となり、楽隊の演奏も始まりましたが、演奏曲目に「バックトゥザフューチャー」や「明日があるさ」が含まれていたのがなかなか愉快でした。
さて、例年だとこの展示車両見学では子供たちが戦車によじ登ってジャングルジム状態となり、車両の外形もつかめぬほどになってしまうのですが、昨年の総火演で車両によじ登った子供がケガをしたらしく、今年は「登っちゃダメよ指令」が出ており、おかげでわりとゆっくり各種車両を観察することが出来ました。もともと軍用車両というのはどこもかしこもカタく出来ており、何をぶつけても青アザがすぐに出来ちゃうようなシロモノですから、慣れない一般人は不用意に触らぬほうがいいように思います。
とは言えやはり皆さん好奇心には勝てないらしく、車外装備品ケースのフタをカチャカチャいじっていたらフタがバカッ! と開いてしまい、隊員に「うわーっすいません、開けないでもらえますかー」と注意される人もいて、思わず苦笑しました。また例年のことですが、迫撃砲などが展示されていると、皆さん必ずと言っていいほど列をなして、一人一人砲身を覗き込むんですね。これがハタから見ていると、どっかの神社の御利益のあるご神体を覗いているか、はたまた何だか新しい宗教の儀式のようでけっこう笑えてしまいます。このあたりの「人間ウォッチング」も、私にとっては総火演の楽しみのひとつです。

さて最後に模型ファンとしての感想ですが、最近アカデミー社から1:35スケールで発売されたUH−60JA“ブラックホーク”輸送ヘリの陸上自衛隊迷彩仕様を間近に見られ、その思った以上の重量感や表面のデコボコ感を確認出来たのは参考になりました。またいずれ何とかして作ってみようと思っている73式小型トラック(いわゆるジープですネ)の運転席を覗き込んだり、ドラゴン社から発売されているMLRSのランチャー部の裏側の構造、87式戦闘偵察車の後部に取り付けられている監視用ビデオキャメラのレンズ部分等が観察できたことも収穫でした……やっぱりプラモネタで終わっちゃうのネ(^^;)


撮影:TAC・カスヤ君・T社のO嬢