
『ジョンブルは、四角四面。だが優しい』
第二次大戦中の英軍戦車というのは、他国が用途に応じて主力の中戦車、偵察用の軽戦車、火力支援用の重戦車と分けて開発していたのに対して、「歩兵戦車」「巡航戦車」という特異な分類を採用したのが裏目に出て、開発者も運用者もエライ苦労をしており、戦史等を読んでいると彼らが気の毒になってくることがある。
しかしながら「ムズカシイ機械を丁寧に、修理しながら、頑固に使う」というイギリス人らしいダンディズムみたいなものを感じて、何となくこのヒトタチが好きになる。
ウチらの仕事も同じ。あんな撮影機材やらナニやら、誰が抱えて歩きたいもんか。重てぇし精密で壊れやすいし。でも、大切に使うんだ。


クロムウェルは大戦後半に登場した偵察/攻撃用の快速巡航戦車で、ノルマンディー上陸後、ドイツ本国へ至る追撃戦で地道な活躍をしている。20年くらい前だったら、タミヤにネジ込む新製品のリクエストに必ずその名を連ねていた。
1:35サイズではクロムウェルの車体を利用した戦車駆逐車チャリオティアがニチモから発売されていたが、さすがに古くてとっくの昔に絶版だったから、クロムウェルが欲しいヒトはプラ板とそこそこ似ているIV号戦車のキャタピラとかでスクラッチするとか、90年代に入って登場した欧米のレジンキットをお小遣いはたいて買ったもんである。
セントーはクロムウェルと同系ながらエンジンが一世代前のリバティーで、榴弾砲搭載のクローズド・サポート(CS)と呼ばれる火力支援型である。当時のイギリス国産戦車は榴弾を撃てる砲を搭載していなかったから、別途用意せにゃいかんかった。厄介なもんだ。


さてタミヤのクロムウェル/セントーだが、待った甲斐はあってタミヤの技術が最高レベルに到達してからのリリースだけに、非常に組みやすい良質な製品として登場した。
そこかしこにタミヤ特有のアレンジが施されているようだが、組みやすいだけに、これを生かすも殺すも作り手次第といったところか。私は個人的には大変気に入ってしまった。
私のモデルは、電撃ホビーマガジンでセントーのキットレビューを担当した際、比較用に製作したもので、大人しいスタイルをちょっと面白いイデタチに仕上げてみようと、キット付属のヘッジロウ・カッター等のアクセサリーをフル装備にして、予備転輪を砲塔に装着したりして遊んでみた。こういった地味なスタイルの車両は、かえって作り手のアレンジで個性的に仕上げる楽しさを提供してくれる。セントーはキット付属のデカール、英海兵戦車隊所属「ハンター号」の実車写真を参考に雰囲気を整えてみた。砲塔の定規の目盛りのようなのは、上陸作戦時に揚陸艦の上から砲撃するとき(これ、フネの上から撃ったんだって!)砲煙で照準が定まらぬので他の船に乗ってるヤツの目盛りを双眼鏡で見て、照準を統一するためのものだそうで、このキットの実車解説書を読むまで知らなかった。このデカール、私が編集部からもらったのはテストショットのため余白もろとも台紙全面にベタッと印刷されており、砲塔形状に合わせて切り貼りするのに難儀した。市販品ではそのような心配は無用デス(^^;)


国内ではあまり作るヒトはいないようだが、自国の車両を愛するアキュリットなどのレジンキット・メーカーから英軍車両が相当出ていることだし、このモデルを見ていると大戦末期の英機甲師団をディオラマや情景写真で再現するのも、ナカナカ面白そうだなぁと思ったりする。
