M8グレイハウンド&M20高速装甲車
タミヤMM1:35&モノグラム 製作(1999)/文 宮本 拓
電撃ホビーマガジン99年6月号掲載作品



『やっと会えたネェ。こんなに立派になって……』

 コレは便利だ、作りやすいし使い易い。しかも頑丈だ。これだったらどこの国の連中にだって扱える。ちょいと余裕を持って作っておけば、後で何か不都合があっても部品を取っかえりゃあ、何とかなる。いろいろゴタゴタ作るよりゃ、これイッポンで通しちまえ―― 大戦中に製造された米軍車両の基本コンセプトは、これに尽きる。とは言え、散々各種の機構をテストしておきながら、基本コンポーネンツは吟味して危険な冒険は避け、スタンダードな設計にまとめ、ノウハウだけ蓄積していくしたたかさは忘れない。基本形式は呆れるほど少ない。同時期のドイツ軍車両が、ひとそろい並べただけで東京モーターショーばりのにぎやかさがあるのに比べれば、まったく呆れるホドである。余計なものは作らず、必要なものだけ厳選してイヤというほど大量に作った。こういう国が戦争に勝つんだなぁと思ってしまう。そんなだから、装輪式(タイヤ式)装甲車なんて貴重な存在である。6輪駆動のM8/20は、その代表格である。全輪駆動トラックのシャシーに堅牢な装甲ボディーを架装しただけのぶっきらぼうなデザインだが、どこかしらスマートでなかなか味のある車種である。小学生の頃読んだ講談社刊「戦車大決戦」に、バルジの戦いでM8がタイガー戦車を至近距離からの発砲で破壊するくだりが印象的に書かれていたのを記憶している。もっとも、挿し絵はナゼカM3ハーフトラックに対戦車砲を積んだナゾの車両だったが。


 ドイツ軍ものに比べて人気の低い米軍車両だし、地味なアイテムでもあるのであまり欲しがるヒトもいまいと思っていたら、98年にタミヤが発売したグレイハウンドは模型誌の人気アンケートでも上位にランクされたらしい。私は手放しで喜んだクチなのだが……うーむ、世の流れというものがどうもつかめん(^^;)
 電撃ホビーマガジンでキットレビューを依頼されたとき、真っ先に思いついたのが往年のモノグラム1:32か、小松崎茂画伯の絵も懐かしい旧タミヤのモーターライズ・グレイハウンドと並べて写真に撮ることだった。流石に記事の意図から外れるので実現しなかったが、このコーナーで試みたいと思う。フィギュアが乗っているのがタミヤ、ガランとしているのがモノグラムである。タミヤのM8は取材した実車のサスがヘタってたとかなんとかで車高が2ミリばかり低いことが判明し、M20ではパーツを改修してあるが、現行のロットではM8も改修パーツに差し替えてあると思う。組み立ては非常にラクで、私は原稿用に都合3つ作ったが、塗装も含めて5日でデケタ。ホイップアンテナをワイヤーで後方へ引き下げているが、実際のワイヤーは金具かナニかを介してY字型になるような取り回しである。一応電撃ホビーマガジンの読者に年少者が多いのを意識して、イチバン簡単な方法で再現してみた次第。相変わらずの好みで砂漠のキャラバンよろしく荷物満載、車内にはピンナップやエッチング製の眼鏡を置いて楽しんだが、シンドイのはドライバー/ナビゲイターのフィギュア。キット付属のものに加えて、やや小振りなドラゴンワゴンのものを改造して乗せたが、キッツキツである。実車もこんななのかね。肩が触れ合うホドで、女日照りの前線で男同士ということを考えれば「オイ、肩が当たってるつってんだろー!」「やかましい! だいたいオマエは足がクサいっ!」とかなんとか、ケンカになりそうな状態である。


 モノグラム版は1970年代初期に発売されたもので、私のモデルは再販品を80年代末期に製作したものである。従来スケール表示は1:32だが実寸1:35に近いと言われていたものの、新作タミヤと比べると、やはり一回り大きい。本来ドライバーズハッチの形状がM8とM20では異なるのだが、パーツ共用のためそのへんまでは突っ込んでモデル化されておらず、おおらか。パーツの大胆な一体成形は、丁寧に作ると金属モデルのような味があって憎めない。大規模なディテールアップは行っていないが、M8は砲塔上の現地改修型のようなリングマウントをプラ板で自作している。50口径機銃はタミヤのもので、当時はコレしかなかった。M20に関しては“レッドボール・エクスプレス”の先導車としても使われたとナニカで読んだので、そんな雰囲気のマーキングに仕立てた。
 M8/20は映画出演も多く『レマーゲン鉄橋』『ナバロンの要塞』『キングコング2』『ダイハード』その他もろもろ、M24チャフィーとならぶスターである。タミヤがいいキットを出してくれたことだし、映画のワンシーンを模型で再現するのも悪くない。