

『パパ、戦車ってなぁに?』
朝鮮戦争末期に登場、その後は1970年代まで西側諸国のスタンダードタンクとして地道に使われ続け、M48が登場するまでは米軍“パットン戦車”シリーズの中核として世界中に君臨していた堅実な設計の戦車である。
寿命が長いこともあって、昔から多くのプラモデルメーカーのモチーフとして活躍していたが、このキットはすべての「M47のプラモデル」の御先祖様的存在である。
一昔前にレベルから写真パッケージで、その後は一時期、マッチボックス(ドイツレベル)ブランドからイラストパッケージで発売されていたが、素性は大変古く1950年代中盤に今は無きレンウォールが手がけた大作だ。いずれ別項でも随時触れていくが、この時期レンウォールはその時代を反映して東西冷戦の象徴とも言える各種ウェポンをビッグスケール・可動部満載のデラックスキットとして矢継ぎ早にリリースしており、そのラインナツプはすべて米陸軍装備のメカたちで、第二次大戦型(特にドイツ軍アイテム)のモデルが人気の現代とはずいぶんとオモムキを異にするラインナップとなっており、今ではかえって新鮮な印象を持つ。
この時代は統一されたスケールと一定の水準のディテール再現といったミリタリーモデリングの土壌がまだまだ確立されていなかったようで、このキットも「AFVスケールモデル」というよりは「人体模型」や「宇宙ロケット」等と同様「教材」に近いテイストである。
子供に「戦車ってどんなの?」と聞かれたパパが休日に買ってきて子供に作って見せてあげる感覚のキットで、不思議な温かさを感じた。
日本に初めて輸入された頃は新橋のステーションホビーあたりで大学出の初任給くらいの値が付いていたと誰かに聞いたが、私が入手したのは写真パッケージのレベル版で、特に絶版専門品店とかではなく、イナカの模型屋の売れ残りで4千円程度だったように思う。


―― とにかく、動く動く!
ハッチはフルオープン可動で簡単ながらエンジンが再現されているあたり、イタレリへの影響を感じる。
サスペンションは実車とは違うボギー式でカチャカチャ動くが、うまいことゴマカシてあって何となくトーションバーに見えるのが微笑ましい。
傑作なのは砲身を指で押し下げると砲塔上のハッチが開いてオトボケ顔のタンカーたちがヒョイと出てくるギミック。楽しい!
製作にあたってはいつものとおりキットの持ち味を損ねぬように基本形状はそのままで、パテによる鋳造表現程度。流用パーツは一切使わなかった。
ただ、ヘッドライトガードが私の知っているカタチではなかったので真鍮線等で自作したが、どうやらこのキットはM47の中でもかなり初期生産ロットの車体を再現しているようで、そうと知ってりゃキットのまんまにしといたものを惜しいことをした。


完成してみると、実車をすぐ近くで眺め、見上げたときのインパクトをそのまま模型にしたのかなぁなんて、そんな雰囲気が伝わってくるほどの重量感で、映画『バルジ大作戦』に登場したM47“タイガー・タンク”の巨大なミニチュアを思い出してしまった。
