
『グーデリアン将軍のアヒル』
「兵器の発達はシーソーに似ています……互いに相手を圧倒しようと、双方が上がったり下がったりでまるでゴールというものがない……軍艦の装甲砲塔にキャタピラーをつけたような独特の形態は人々を驚かせました……」
印象的な書き出しで始まる組み立て説明書の実車解説。一時期、矢継ぎ早に開発、発売されたタミヤの旧作・IV号戦車シリーズの中でも、待ち伏せ攻撃に主眼を置いた極端なローシルエット、強力な対戦車砲を搭載した「動くトーチカ」とも言える“ラング”は大のお気に入りだった。発売は1976年である。


――実車の車体高は186センチ。私は図体がデカく身長184センチだが、ラングはちょいと上等な靴を履いたときの私の背丈と同じである。これではすぐ近くで見たときのボリューム感は以前撮影のために借りたことのある大型4駆“ハマー”とさしてかわらない。陸上自衛隊の基地祭や火力演習を見学して、74式戦車や90式戦車を間近で見て、子供たちと一緒になってその車体にヨジ登ってはしゃいだことがあったが、あれは鋼鉄製のジャングルジムだった。同じ「戦車」と名の付くクルマであっても、設計思想、運用方法の違いでこんなにも印象が違うのかと愕然とする。その這いつくばったような姿勢と運動性の悪さから、当時は「グーデリアン将軍のアヒル」と呼ばれたらしい。気の毒なコトだ。
部屋の大掃除をしていたら、このベテラン・キットが箱ナシの状態で出てきた。
現在ではグンゼ/ドラゴンの決定版キットが出ているが、パーツの様子を眺めていたら昔感じた「作りやすくてカッコイイ」印象が甦ってきて、ササッと完成させてしまった。休みを利用して、正味4日で完成。いいキットだ。
タミヤの 古いIV号戦車系列は独自のアレンジによって車幅が3ミリ広く、車体前面下部の面積が大きくなってしまってイメージ的にソンをしていると言われ続けてきたが、ラングの場合は車体前面に大昔の戦艦の持つラム(衝角)のような巨大なフロントプレートが取り付けられているので、このキット最大のウィークポイントがうまく隠されて、非常にイメージが良い。ほとんどストレイト組み。私にはそれで充分だが(^^)何かチョットやっちゃおうカナなんてイタズラ心が湧いて、タミヤから安価で別売されている新金型の「IV号戦車 車外装備品セット」を用いてドレスアップしてみた。特徴的かつ主要なパーツがシャープにモールドされたランナーが一枚ポイッと入っていて、¥350也。コレさえあればレジンやエッチングは不要(あくまでワタシにとっては、だけど^^;)。キャタピラもキットのままである。ただラングの場合大きな特長として、増大した前部荷重に対処するため最前部4つの転輪が全金属製のサイレントブロック・タイプになっているのだけれど、キットでは再現されておらずどうしようか戸惑っていたところ、ドラゴンの III号突撃砲後期型に「不要部品」として入っているのを発見! アリガタク頂戴した。 いつも、アリモノ勝負のワタシ(^^;)。
ラングのシンプルで精悍なイメージを大切にしたかったので、ドイツ軍戦車特有のツィンメリット・コーティングもナシ。シュルツェンはフル装備。まさに、無限軌道を履いた戦艦の主砲搭。
ただ、久しぶりにドイツ軍のダークイエロー・ベースの迷彩を塗ったら……ちょっと色調が暗すぎたかなぁ。ややイメージと異なった仕上がりになって反省。


――こういった車体をディオラマや情景写真で楽しむとき、イチバン困るのは「見えなくなる」こと。
実車が敵から見えぬように注意深く運用されたのだから、それを再現すれば見えなくなるのは当然のことで、情景写真を撮る際に「実車っぽく、リアルに……」なんてやってると、被写体そのものが見えなくなってしまうという本末転倒ギャグ的自体に遭遇して、ファインダーをのぞきつつ途方に暮れるボクでした。
