
『えっ、砲塔がジェット噴射で飛ぶんじゃないの?』
仕事したり、映画観に行ったり、友達と飲んだり、女の子にフラレたり……我々がなんてこたぁない日常生活を送っている間にも、知らないところで兵器は日進月歩の進化を遂げている。現用車両のプラモデルを作ってみるとそんなことがヒシヒシと伝わって、何だかフクザツな気持ちになる。日本にも、いるんだ。我々と同じ時間軸で生きている人々の中に、一所懸命こういう不思議な機械を作る仕事をしているヒトがいて、渋谷や新宿の大交差点あたりで知らぬ間にオレとすれ違ったりしているんだ。


大昔、レオパルド戦車の最新型“II”の走行シーンをNHK特集で観たとき、その映像から漂う質感のあまりの「冷たさ」にゾッとした憶えがある。まるで、化け物だ。しかもナレーターがNHK特有の冷静沈着なイントネーションで“II”を「ツヴァイ」とドイツ語で発音しているのが恐怖感を増幅させていた。
ところがプラモデルの世界の話だと、コレが途端にノンキになる。現用車両にさほど関心の無い私だが、電撃ホビーマガジンに作例を依頼され、普段触らぬキットを手がける際の何だか新鮮な驚きを期待して引き受けてしまった。特にこのIIA5は専門誌で実車写真を見て「どーしちゃったのよ、コイツ」と、そのシルエットにビックラこいていたので、作る機会を与えてもらって嬉しかったりして(^^;)

作ってみての感想は、こりゃあSFモデラーが喜ぶんじゃねーかな、と。そのまま作ってもSFテイストなのだが、砲塔や車体の一部を流用してオリジナルSFモデルを作れば、知らないヒトには素性がバレないというか、まさかこんな戦車が実在するとは誰も思わないからハッタリが効くような気がする。昔のイタラエレイに比べると確かにやや「甘い」雰囲気があるものの、歪みやすい砲塔の組み立てと相変わらず固い材質で出来たキャタピラを取り付ける際にサスペンションアームやらがボキッといかないように気を付ければわりとすんなり形になってくれる。塗装は、現用車両特有のややノッペリした表面のディテールを強調しようと、いつものドライブラシやウォッシングに加えて、エアブラシで影を描き入れた。所謂「スターウォーズ塗り」。フィギュアはこの後すぐに海外のメーカーから現用ドイツ戦車兵がいっぱい出たようだが、製作当時は無かったのでタミヤのマルダーのものを載せたが、これがタミヤらしからぬ、一体成形のメタルモデルっぽいやつで、逆に気に入ってしまった。今じゃそのタミヤからもこのIIA5が出ているところからして、欧米では思ったより人気のある車種なのではなかろうか。誌面で比較するために登場した“ツヴァイ”は作業時間短縮のため橋本氏に基本工作をお願いして、塗装と仕上げをこっちでやった。塗装は実車とはやや異なってしまったが、ブルーの強いダークグリーンでコントラストを強めに付けて仕上げてみた。好みというか、イメージの問題デス。偽装網に引っかけてある小枝は外国製のエッチングパーツ。これ、けっこうイイんだが、なかなか入手困難なのが痛い。現用戦車ってどれもカタチが似ててつまんないなぁなんて思っていたのだが、こうしてみると、どれもなかなか個性的。大戦型車両と並べるとコレクションの中でも引き立ち、結構お気に入りである。やっぱり食わず嫌いはいけないなぁと、反省。
