
『人気あるんだから、庶民の味方でいなさいヨ』
子供の頃、サンダーバードやトミカのミニカーと並んで、センシャやヒコーキのプラモはヒーローだった。しかし、これも時代の流れで仕方のないことなのだろうけど、そのうちガンダム等のアニメ・アイテムに押されて大手のタミヤですら新製品を出さなくなり、高価なグンゼの「ハイテックシリーズ」だけがマニアを満足させていた時期があった。ハイテックシリーズは、プラや金属等の複合素材を使った超精密キットで、その品質の高さから「新世代ミリタリーブームの牽引役」などと言われていたが、私はどうも馴染めなかった。とにかく値段が張ってねぇ。しかも何でこんなとこまでというパーツが金属になっていたりして、パッと見の高級感は凄いケド、このシリーズのファンの方には誠に申し訳ない、本当にすんません、オレこんなに謝ったことねーよ、なのだが、私は箱の中身を見た途端ゲンナリするのが常だった。いくら高級志向、マニア向けが受ける時代とはいえ、ただでさえプラモ作るヒトが減ってるのに、商品のほうが買う人間を選んでりゃ世話ないというか、もう先も見えてるようなプラモ趣味の世界、こんな狭い世界をまたまた狭くするような商品展開があまり好きになれなかった。なんか、どっかの社長が高価な甲冑とか帆船の模型を、オトナの趣味とか言って会社の執務室に自慢気に飾ってるよーなのを1:35の戦車でやってるよーな気がしちゃって。やっぱりプラモデルは「庶民の味方」であってほしいよ。手軽に作って、いっぱい集めてサ、それっぽい精密感が楽しめるってのが、本来のプラモデルの良さだと思うんだがなぁ。


とかなんとか言ってるうちに、パーツをすべてプラに置き換えた廉価版が出た。これでやっと新世代ドイツ戦車モデルを作る気になった。しかし、けっこうシンドかったなぁ。もともとハイテックに入っていたパーツと新規のドラゴン社製(?)パーツの相性が必ずしも良いわけでもなく……まぁワタシがズボラなだけなんだけど、パパッと作るというわけにはいかなかった。ディテールアップはライトコードを追加して、別売フィギュアに付いていた金属製キューポラとハッチを使った程度。なんてことを言いながらも、やっぱりちょっと前まで「ハイテック」をうたっていただけあって、プロポーションは写真で見る実車そのもので、作った甲斐はあったな、ついでに安くなってヨカッタなってな感じである。
ジャーマングレイの単色塗装は単色OD同様難しく、時代考証的に「これは正しい、これは間違い」を跳び越えたところで自分なりに個性のある色調で仕上げたいと思っていたので、タミヤのジャーマングレイをベースにいろいろ調合して実験。いちばん気に入ったのは少量の赤を加えた色。角度によつては微妙なパープル系に見えて、大戦中の退色したカラー写真の雰囲気が出たかなと思う。マーキングは他の私の作品同様イメージモデルの要素が強いので、かなりフィクションが入っている。ゴーストのマークが気に入って、第11師団所属である。いずれこのマークにちなんで、往年のオーロラ・モンスターシリーズを思わせる墓地のベースをこしらえ、映画に出てくるような長いコートを羽織った怖いドイツ兵のフィギュアを加えて不思議なディオラマにしたいと思っているのだが……。


写真で共演しているダークイエローベースのやつは今となっては懐かしいタミヤの旧作。初版は1971年発売。絶版になったとき、完成品というかたちで保存しておきたいと思ってストレイト組み。キャタピラだけ、まだ可動ではなかった頃のモデルカステンカステン別売品に換えてある。並べてみるとシルエットの違いが面白い。発売時期を考えれば、当時としてはタミヤの旧作も悪くなかったんだなぁなんて、感慨にふけってしまう。
