自走10.5センチ榴弾砲“ヴェスペ”
タミヤMM1:35 製作(1996)/文 宮本 拓



『ナニが困るって、現場が狭いことサね』

  旧式化した車体を利用して自走砲をこしらえるというのは古今東西を問わずよく行われることらしいが、ヴェスペは大胆にも軽戦車であるII号戦車の車台を若干延長して18式10.5センチ軽野戦榴弾砲を搭載したもので、デザイン的にも洗練されており人気のあるモデルである。大戦中の東西の戦線で使用されているので、ディオラマにも使い易い。


  タミヤMM200作めとして、満を持して登場したのが96年。この車体に関しては懐かしいバンダイ1:48「電撃機甲師団シリーズ」が記憶に残っているため「あのヨンパチのやつがサンゴーで作れるのか!」と、ヘンな喜びかたをしてしまった。好きなアイテムなので、ちょっと前まで出回っていた秀作の誉れ高いフランス製レジンキットを買おうか買うまいか迷っていたのだが、いやー待っててヨカッタ。キットはII号戦車のシャシーも含めて無論すべて新規設計で、軽戦車ベースの繊細な雰囲気をよく出している。搭載火砲もデリケートな形のわりには工作に困難を感じる部分は微塵もなく、これで複雑に可動するのだから恐れ入る。私のモデルはほとんど手を加えておらず、無線機に配線をした程度。あとはMG34やスペアホィールラックを増設したり、アクセサリーを配して楽しんだ。キャタピラもキットのもので、ホィールへの接着を工夫して弛んだ状態にしたが、今では経年変化でやや縮んでしまったようだ。塗装はグレイとグリーンの迷彩だが、車体のナンバー等は私の他の作品同様、ほとんどフィクション。


  ――自走砲はたいていの場合オープントップで、車内の様子がわかるのがモデルとしての面白さなのだが、105ミリ・クラスの火砲を搭載し、ほぼ同じ用途で使われたとは言え、米軍のM7プリーストと比べるとヴェスペは気の毒なほど小柄である。どんな職種でもそうだが、仕事をやるときスペースが手狭というのがいちばん厄介だ。作業時間が倍かかる。私なんぞの場合でも、やれライトが入れない、キャメラの脚が立てられない、引いて広角で撮ろうにも、ヒキシロがない……現場が狭いとロクなことはない。この車両を運用した砲兵たちは、かなり難儀をしたのではないかと他人事ながら同情したくなる。