
VAP製作のオリジナルムービー『ヴィジュアル・バンディッツ』第1話「時の墓標」で使用。
少人数編成で製作されていた“VB”だが、自衛隊出動シーン撮影前になって、もう作り手不足が限界にきており、結局その多くを監督の宮本が自分でこしらえた(笑)。
73式3t半トラックは現在のところ1:25どころか1:35でもキットが発売されていなかったので泣く泣くスクラッチ。とは言え撮影用なので細部はかなり省略してあり、プラ板と格闘していたら2日で完成。ベースはイタレリ1:24DAFトラックで、キャビン、カーゴスペースはプラ板とエバーグリーンのプラ材。ステアリングはきかないが、後輪サス可動で、ヘッドライト、テールランプが点灯。

3t半トラックは1台しか作れなかったので、カーゴスペースにスッポリ被せてシルエットを変え、特装車両に見せるためのオプションパーツを製作。レーダー管制装置車パーツは櫻井ラインプロデューサー、電源車パーツは助監督佐古氏の作品。
工作という行為に極めて不慣れな彼らの
「板を正方形に切ると平行四辺形になるぅ!」
「せっかく隙間をパテ埋めしたのに、ヤスリで全部削ぎ落としたぁ!」
……といった叫び声が今だ耳に残る。

さて、撮影前日になっても車両の数がまだ足りない。コンボイの量感が出せない……再び泣く泣く宮本がプラ板を切り刻む(笑)。
ナニがいちばん現在の自衛隊らしいだろうか。そうだ、この前国道で見かけたパジェロを作ろう!ということで、新型73式トラック(ジープ)を作ることにした。資料が無いので、演習時の写真からだいたいのフォルムをつかみ、タミヤの1:24パジェロのバスタブ型内装パーツを芯にプラ板を貼り付け、ポリパテ盛ってガシガシ削って出来上がり。一日仕事。タイヤはややデカかったが、ミツワ1:20ウィリスMBジープのものを流用。ヘッドライトが点灯。フィギュアは粘着テープで軽く固定したので、不整地を走るとイイ感じで揺れてくれた。
前後して、他のスタッフが正月返上で作っていた車両も何とか完成して撮影に間に合った。6輪装甲車(82式通信指揮車)はチーフ助監督(一部ではチープ助監督と呼ばれていた)糟谷氏の作品。生まれて初めてのフルスクラッチだというので、箱形の8輪装甲車を勧めたが、どうもこっちが気に入ったらしく、とてつもない情熱を持って完成させた。しかし生涯初めてのスクラッチ、なかなか要領がつかめない。寸法取りもうまくいかず、アチラを立てればコチラが立たずで切った貼ったしてツジツマを合わせているうちにフォルムが変わってしまい「メガフォース」のタックコムみたくなった。完成したモデルをマジマジ見つめて、本人一言だけ「……あれっ!?」憎めないモデルである。サス可動。ヘッドライト電飾内蔵。

もう1台くらいナニカ欲しい。お手伝いに来てくれた糟谷氏の先輩、プラモ好き、本職のプロデューサーである荻野氏が73式装甲車を作ることになった。ベースは実車同様に上部サポートローラーが無い大転輪式に目を付けてタミヤ1:25T34/85。シャシー部分を芯にしてプラ板を切り貼り。ジャンクパーツでデコレートしたら、増加装甲・対戦車ミサイル装備の強化型になった。名付けて「オギノ式装甲車」。まっ、お下品。ヘッドライト電飾内蔵。

―――これらのモデルはすべて走行に関するギミック、動力は何も搭載していない。すべてピアノ線による操演で走っている。
すべての車両は視覚的な統一感を出すため、ディテールアップ等の最終仕上げと塗装、マーキングを宮本が行っている。
なお、一部の車両は宮本が監督/特撮監督を担当した円谷プロ作品『ウルトラマン・ネオス』第10話「決断せよ!SX救出作戦」にゲスト出演している。
≪追記≫
“VB”で使用されたミニチュアの中には、1989年に完成した自主製作8ミリSF映画『目覚めよと呼ぶ声あり』で使用され、保存されていたものもあります。
陸上車両はほとんどが1:35スケールのため使用されませんでしたが、ベルUH−1イロコイの1:24、1:32モデル、ヒューズOH−6カイユースの1:20、1:32モデル等は、実機の最新型同様に改修を受け、塗装も現在の実機に採用されている迷彩色に塗り直されて使用されています。
広角レンズを使用したドラマ部分での「一発合成」に使用された1:18三菱ジープも同じく『目覚めよと呼ぶ声あり』で準備されたもので、『砂丘の残像』にも出演しています。その他、大型の“チヌーク”ヘリや一部の陸自車両、自作の民家、電柱、鉄塔等の各種ミニチュアに関しては、宮本以下TEPスタッフの学生時代の先輩であるクリエイター、神原信一郎氏に全面協力していただき、氏がご自分の自主映画用として長年にわたって手作りで揃えておられたコレクションをお借りしました。
この場を借りて心よりお礼申し上げます。
写真 Copyright VAP
