"あるカキコミ〜キャラクター性〜"



  チョット、変則的なエッセイである。

  先日、とある模型サイトのBBSで、模型の楽しみ方が話題に上っていた。
  自分も常々考えていることを書いてみようとキーを叩き始めたのだが、書いてみると思いの外、自分の模型つくりのスタンスを表現した文章になった。

あまりに長文になったので、そのまま投稿するのは止めて、補足・改訂を交えながらここに再録してみようと思う。



  実物を精密に縮尺したスケールモデルとは言え、「模型趣味」というものの楽しみ自体は十人十色で、そのキャパシティーの広さが魅力ですから、個人の自由が尊重されるのがいいと思いますので、僕の話も参考までに……。

  考証に則して、実在する人物の乗っていた実在の車両を模型で再現するのは、アカデミックな魅力もあって素晴らしいことだと思います。
  特に、戦史等を読んでその人物の活躍ぶりや歴史的存在感にシビレると、それを再現した模型を断然作りたくなりますよね。
  これは、スケールモデルの王道、正統派の楽しみ方だと思います。


  ――ところが僕の場合は、それとは逆に

「乗っていた人間を限定しない作り方」

  を、好んで行います。
  ワザと、オリジナルのマーキングに仕上げちゃうんです。

  つまり、ヴィットマンのタイガー戦車を作ると、乗っていた人間は当然ヴィットマンということになりますよね。
  タイガーという車両自体もさることながら、ヴィットマンという人物についても、資料を調べればかなり細かくその実像を掴むことが出来ます。

  そういうふうに、人物を限定してしまうのがあまり好きではないのです。

  人物よりも車体そのものが好きなので、乗っている人物は自分で「クリエイト」して、仮想現実の世界で遊びたいなと昔から思っています。
  ちょっと子供っぽいですが、この癖だけはどーも直らない(^^;)

  例えば……

  ――この戦車長はもともと農家の長男坊で、面倒見がいいけどガンコなところが煙たがられる。

とか、

  ――この射手は招集前はパン屋の息子で、自分がこんな荒々しい仕事につくなんて思ってもみなかったが、実際やってみるとけっこう命中率が高くて自分でも驚いている。

  とか、

  ――この操縦手はもともと機械好きで、少年時代からモーターサイクルレースなどにも参加していて、戦車の最高速度が40キロしか出ないのが気に食わなくて仕方がない。装甲は薄くていいからせめて軽快な偵察戦車に乗りたいと常々思っている。

  ……などなど。

  そんなキャラクターを自分で考えながら車体を作って、フィギュアを乗せていく作業はひどく楽しいですね。
  乗っている人物のキャラクター性を自分で創造すると、必然的に車体そのものにもキャラクター性を持たせたような仕上がりになってきますね。
  そのへんが僕の作品の個性なのかなと自己分析してます。


  それから、僕の場合は完成後に情景写真で遊ぶことが多いので、乗っている人物が限定されてしまうと写真の背景も限定されてしまってツマラナイということもあるわけです。

  とは言え、基本的なルール……つまり総合的な考証、約束事だけは大切にして、ひとめでワカルようなウソはつきたくない、と(^^;)

  北アフリカにパンターがいる、とかね。そういうのは好きじゃない。
  バルジの戦いに米軍仕様のM3A1スカウトカーがいるのもおかしいし、太平洋戦線の米軍ジープの国籍マークに白丸円が付いているのもちょっとオカシイ。ライン渡河作戦にマチルダがいるのもヘンでしょう?そういうところは気を付けますネ(^^;)
  細かいところを言えば、米軍の車体登録ナンバーのデカールを貼るとき、DUKW(水陸両用輸送トラック)のレジンキットを作って、デカールをGMCトラックのプラモから流用しちゃうと、DUKWのような水陸両用車両は「8」から始まるナンバーが基本だから違ってしまう、とか(コレはまぁ、お友達からのウケウリですが^^;)ドイツ軍のツインメリットコーティングの施行され始めた時期を考えると、1942年の戦場にはコーティングされた車体は無い……とかね。そのへんは気を付けます。

  つまり、

「いかにもありそうで、実はオリジナルな設定で遊ぶ」

  ……というのが好きなんですね。
「うまいウソ」をつくためには、実際の状況を知らなければならない。
  だから、リサーチはできるだけ、行う。
  実物を知ったうえで、ウソをつく。コレが何とも楽しい。
  こういう楽しみ方も模型ならではかな、と思ってます。

  これでいちばん困るのは、実は航空機なんですよ。
  パーソナルマーキング。
  いかにもありそうだけど、実は架空という、すっげーかっちょいいノーズアートなんかを自分で描いてみたいなと思うんですが、いかんせん、画力が……(^^;)

  こういうときに絵を描いてくれる達者なヒト、友達になってくれないかなぁ……。

  ――いずれは「リアル系オリジナル」の塗装で仕上げ、独自のキャラクター性を持たせた車両や航空機と、載せている乗員のフィギュアを使って、これまたオリジナルのミニチュア特撮フォト・ストーリーなんかがサイトで公開出来ると最高ですネ!
  企画、脚本まで自分で担当する戦争映画の監督気分ってヤツです(^^;)

  もっとも、実在するマーキングがひどく気に入った場合は、素直にそれに従って作ったり塗ったりすることもありますから……まぁ、気まぐれなんでしょうね(^^;)
  でも「自由に楽しむ」というスタンスだけは守っていきたいなぁといつも思っています。

(文責:宮本 拓 200201)